「TAKO TAKO PAGE」は、サガについては一切触れていない。若干、他のことについて
  も掲載されているが、およそ小説一本のHPである。ゲームをモチーフにしているとはいえ、
  小説サイトという存在は、当時とてもありがたかった。しかも、「年下で自分より巧い小説
  を書く」というのが、自分にとって何よりの刺激になる。もっとも、小説を書き始めてまだ4
  年(投稿という、真面目な目標を持ち始めたのは2年前)しかたっていないので、年なんて
  あまり関係がないのだが。事実、1番弟子の白夜さんは3年前から書いているので、ある
  意味、私より長く小説を書いているのである。
   ある程度、そのHPのクリエイター――りみさんの小説を読み、掲示板に足跡を残すこと
  にした。そして、「よかったらこちらからリンクさせてくれませんか」というお願いも付け足し
  ておいた。これで、長い間3件止まりだったうちのリンクも、ようやく4件へと加算される。
   翌日。彼女からの返事が、うちの掲示板に書かれていた。自分から先に行ったものであ
  れ、初めての人が掲示板にやってくるのを見ると、どうも唇が緩んでしまう。そしてそれは、
  彼女にとっても同感だったらしく、「常連以外の人が来たのは初めてだったので嬉しかっ
  た」そうだ。確かに、彼女の掲示板には当時、3、4人くらいの人が入れ替わり立ち替わり
  で書き込んでいただけだった。当然、うちもそうだったのだが、しかしそのことは、彼女の
  気持ちをより分かりやすくするための材料でしかなかった。
   そのうち、リンクを相互にしたいという連絡が来て、これで互いの連結性が強くなった。
  そこで私は次の宣伝先、もといリンク先を探そうと思ったのだが、このまま流水さんのリン
  クから選ぶのでは、ただ彼女の後を追うだけだと思い、今度は「YAHOO! JAPAN」の検
  索画面から始めることにした。文字通り、1からの出発である。
   とりあえず、まず最初は「サガ」で検索。そこで今度は、適当にサイトを決めてクリックす
  る。だが、そこは自分の望むようなサイトではない。あきらめて私は、そこから検索画面に
  戻――らなかった。
  (戻っても、結果は同じだ。それより、ここからのリンクで流れ流れた方が、案外いい所に
  出るんじゃないのか?)
   そういう結論に達し、求めた結果、辿り着いたのが「下町ノートブック」であった。どういう
  ルートでここに出たのかは、あまりよく覚えていないのだが、テーマは特に決まっていない、
  純オリジナルの小説掲載という点に、私は強く惹かれた。私はすぐさま彼――下町さん
  の小説をキャッシュし、「翼を持つ者」という中編を一気に読み終えた。時期的には、うち
  の「木星で見た夢」を書き上げてしばらくたった、という時だったので、他人の書いた、完
  結済みの小説は新鮮に感じられた。私は小説の感想をメールに書き、今度うちの小説も
  ぜひ見てほしい、ということを添えて送ることにした。
   翌日、彼から返事が来た。どうやら、小説に関するメールをもらったのは、私からが初
  めてらしい。どこも似たようなものなのか、と私は胸中で1つ、頷いていた。ただ待って
  いるだけでは、読者はやってこない。私はそれから、大学の同期3人のHPと、流水さ
  んの掲示板に相互リンクを求めに来ていたのぶさんの「未確認Region!!」、そしてさら
  に、以前からそこの常連であり、新しくHPを開設したさとりさんの「うさぎの穴」とリンク
  した後、しばらく行動を起こさなかった。
  (小説を見てもらうだけでなく、こちらからも見なければならない。それにはまず、色々な
  ジャンルの小説を探すことだ。)
   やがて、そう思い立って私は、大学のパソコンを利用して(望みのサイトを探すのには、
  いつも時間がかかるので、いつもコレを利用している)小説関係HPの、ネット放浪を始
  めた。
   この、“小説関係HP放浪記(勝手に命名)”には、2つの目的があった。1つは先述し
  た通り、自分の小説における価値観を広くすること。もう1つは、弟子をはじめとするうち
  への訪問者が、全くの新しいサイトを発見できるようにと、斬新なサイトを探すことである。
  というのが、例えばある小説関係のHPに行くとする。そしてそこのリンクから、別のサイ
  トへ移動する。実はこれを2、3回繰り返しても、リンクの内容は半分程度は変わってい
  なかったりする。つまり、結構同じような人が、同じ所に集まりがちなのである。このため、
  私はどこのHPのリンクにもないようなサイトを最低1つ、探したかった。それによって、訪
  問者同士に友好関係ができればこちらとしても嬉しいし、何より白夜さんの小説の価値
  観が広くなれば、師匠として慶賀の至りである。
   まずは、例の如く「YAHOO! JAPAN」で検索を始める――が、今回は「サガ」でなく、
  最初から「小説」で攻めていくことにした。ある程度探すと、今度は「Infoseek JAPAN」
  など、検索エンジンも変えていく。
   結果、私は「古風」「刑事」「投稿」「パロディ」「ゲーム」「ファンタジー×2」「短歌・詩」
  の各ジャンルのHPを発見することができた。中でも「ファンタジー」の「コーネリア帝国
  に掲載されている「イーリス」は大長編で、クリエイターである水女 桜さんは、今でもゲ
  ームのこと等についてとか、うちの掲示板の常連さんとなっている(これも後から分かっ
  たことなのだが、ゲームについては男性、小説については女性の方が、うちの掲示板
  によく来るようである)。
   さて、これで小説においてはある程度の分野は抑えることができた。そこで今度は、
  『「サガ(ゲーム)」や「小説」とは全く関係のないサイト』を少々、探すことにした。
   無論、目的はさらなる世界観の広範化、全く違った分野への進出である。しかし、自
  分のサイトと関係のないHPに行ってリンクを貼らせてくれるほど親しくなるにはどうす
  ればよいか、正直不安なところであった。そこで、「テイクオフ・ホームページ」から、親
  近感のありそうなサイトを探すことにした。
   ターゲットは、案外早く見つけることができた。「ふあふあの小径」――CGとMIDIが
  主なHPである。MIDIを取り扱うHPは、当時私自身、MIDI器機を持っていなかったせい
  もあり、ほとんど対象外であった。が、いつかはMIDIを取り入れていこうとは思ってい
  たし、また、サイトのコーナー内にある「子育て日記」というのが、非常に斬新に思え
  た。そういう人が来るのもまた、面白くかつ、革命的ではないだろうか。
   やがて、そのHPにリンクを貼らせて頂くことができた。無事、長編を完結させることが
  できたら、また連絡しますと言い(書き)残し、私は小説執筆の方へと、徐々に余力を
  向けることにした。
 
 
 


 
 
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