さて、いつまでも私信を他人の掲示板に書くわけにはいかないと、私は掲示板設置を思
  い立つことにした。春の合宿を終え、私はその帰りに大学に寄り、掲示板設置の手続きを
  済ませた。こういう、アクセス時間が長くなりそうなことは全て、私は大学のパソコンを使う
  ようにしているのだ。このことを流水さんの掲示板に宣伝しておき、私は重い荷物を持って
  帰路に就いた。
   最初、うちの掲示板に来てくれたのは当然ながら流水さん、白夜さんの2人だけであっ
  た。だが、しばらくして流水さんのHPによく来る、別の人達の名前もちらほらと見るように
  なった。その人達は、流水さんの掲示板では私について触れたりはしなかったのだが、こ
  うして自分の掲示板を持つと、どんな人がどういう反応を示しているのかがよく分かる。意
  外な収穫を得て、私はまず自分の小説を、掲示板に宣伝することにした。
   そう。大体が、コレが目的でHPを開設したのである。私は、長編小説を出版社に投稿し
  ている。だが、自分1人の力というのは、限りがあるものだ。いくら文庫を買って読んで、
  知識を深めたとしても、他人からの――つまり、読者からの感想がなければ、手応えを掴
  むことはできない。これは随分先の話になってしまうのだが、「Digital Party」のYUWさん
  という方から、こういうことを訊かれたことがあった――「ツボさんは、ネット上で自分の作
  品について、感想をもらったことがありますか?」
   彼は、その時初めて自分の絵について、感想をもらったらしかったのだ。それに対して、
  私はこういう返事をした。「感想をもらうのではなく、宣伝した上で得るものだと思います。
  私は、ネットをそういう意味で利用したいと思っています」
   今考えてみると、随分と偉そうな口を叩いてしまったと思うが――つまりは、そういうこ
  となのである。確かに、HP開設の動機は「サガ」で、それについても掲載はしているのだ
  が、私の中では小説をメインとしてHPを作っている。そして、HPのレーゾン・デートル(存
  在理由)もまた、小説にあると思っている。私がHPを閉鎖する時、それは小説を書くのを
  やめる時だろう。
   さて、少し話がずれてしまったが、私の掲示板で、最初の、全くの初対面だという人は
  「サガ」関係で来られたロードLV3さんだった。今でも稀に顔を出して頂いたりもするが、
  いかに「小説」関係ではないとはいえ、自分のHPで全くの初対面という出会いができた
  ことが、私は嬉しかった。他にも「SagaBox」経由でのふね(現・ハンニバル)さんとか、
  古くからの「SagaBox」の常連であったハクゲンさんといった、リンクを伝った出会いも嬉
  しいが、“自分の作った”HPで出会った、というのが、どうにも不思議のような、あまり言
  葉には表現できないような気持ちになる。こんなヘンピなHPに来てくれた人がいるのか
  ……なら、もっとHPを大きくしていこう、と制作意欲をかき立てられる。
   HPを大きくしていく、ということについて、私は2つのことを考える。1つは、コーナーを
  より多く開設して文字通り大きくしていくこと。そしてもう1つは、少ないコーナーの中で、
  どれだけ多くのことを掲載するか。つまり、「広さ」か「深さ」か、というわけである。もちろ
  ん、「広く、深く」ができれば何も言うことはないのだが、私はそんな広い分野に精通して
  いるわけでもなく、より多くの訪問者を得るには、自分の知りうる限りの情報、また書け
  るだけの小説を見てもらうしかない。ただ、小説はそんな早くに書けるものでもないし、
  よしんば書けたとしても、それはただ間に合わせで作っただけの掲載材料に過ぎないの
  であって、本来の目的――小説を読んで、感想を得ること――を達成することができな
  い。そこで私は、ハクゲンさんの協力を得て、まず「サガ」の分野を深くすることにした。
  情報ならば、得ると同時に公開することができるからだ。しかし、ロマサガについては
  「Moon Light Anthen」以上のものを掲載できる自信はなかった。そこで私は、自分自
  身、1番好きな「サガ」――GB版を攻めていくことにした。さらに、「Moon Light Anth-
  en」に連絡し、こちらからリンクを貼った。これで、一応ロマサガの分野も抑えたことにな
  る。手元にあるGB版SaGa2と、それにおける古い記憶を辿り、とりあえず「サガ・コーナ
  ー」として、ロマサガ2、GB版SaGa1、2についての情報を掲載し、「SagaBox」で宣伝
  した。
   だが、結果は(当然のことだが)新たな訪問者はほとんど来なかった。これは後になっ
  てから気付いたことだが、“1つの掲示板での宣伝効果は、ほとんど得られない”のだ。
  その宣伝内容(例えば、当時話題のもの)にもよるが、他の掲示板からやってくる人なん
  て、パチンコのCR機で2000円で当たりが来るくらいの確率でしかない(すいません、変
  な例えで……)。つまり、“下手な鉄砲数撃ちゃ当たる”のようなものなのである。ただで
  さえそうなのに、サガ――しかも、GB版になると6、7年前のものである。いかに名作と
  はいえ、そんなに古いもの目当てに来る訪問者なんて、そう見つかるものではない。
   そこで、私は第3の「HPを大きくしていく」方法を考えた。何も、“HP自体を大きくしなく
  てもいい”のだ。要は、より多くの人に、私のHPの存在を知ってもらうか、なのである。
  そこで私は、“いろんな(小説、サガ系の)掲示板に顔を出す”、“様々なページとリンク
  を貼る”ことにした。ただし、いきなり後者をするわけにはいかない。これは実際、結構い
  る(私自身、以前はややこんな傾向があった)のだが、“いきなりやってきて、リンクを貼
  る・貼らせてもらう”というのは、一種のマナー違反なのである。そのサイトをじっくり見た
  上でというのなら、話は別だが、「○○系のサイト」を見つけて、いきなりそこの掲示板に
  「リンクさせてくれ」というのは、どう考えてもまずいだろう。リンクとは、そんな安直にす
  るものではない(互いにある程度親しくなってとか、互いの繁栄を考えて、などの考慮の
  上で、ということ)し、何より、相手が疑心暗鬼に陥ってしまう。ねずみ講の類のような、
  悪意のものに感じられてしまうことだってあるのだ。どうやら、HP開設直後に“訪問者を
  呼ぶための、形を作る”ために――つまり、そこそこリンクがないとHPとして格好が悪い
  と思って――リンク先を探している人がいるようだが(もちろん、そうでない人がいること
  も知っているが)、それは間違いである。「リンクの多さ」=「HPの大きさ・著名性」では
  ないのだ。私のHPも、今(これを書いている時点)でこそ54件のサイトとリンクを貼らせ
  てもらっているが、出発点はたったの2件だった。先述した「Digital Party」も(開設3
  日足らずでカウント280いったという、すさまじい成長度を誇る、私の目標の1つのサイ
  ト)、1番最初のリンク先が、こんなへんぴな、私のHPだったのだ。「発展途上」というこ
  とを意味するためにも、やはり1から始めることがいいと私は思う(もっとも、私にとって
  の流水さんのHPのように、事前からリンクを約束していれば話は変わってくるが)。
   再び話はそれてしまったが、つまり私はまず、前者から始めることにした。そこで再び
  役立ったのが、流水さんのサイトである。なぜなら、彼女のHP自体が「サガ」、「小説」
  サイトなので、そのリンクもまた然り、というわけなのである。そうして私は、初めて全く
  の新天地――「TAKO TAKO PAGE」へと、足を踏み入れたのである。
 
 
 


 
 
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