約束の時間より、工藤君は早めに「エビナ」に着きました・・・・
工藤:「どんだんず!去年よっかカラスおおいべな」
(訳)「なんてことだ、去年よりカラスが多いな」
棟方:「よう!あどほがは?」
(訳)「よう!あと他の人は(来ないの)?」
工藤:「わりっ、だれもつかまんながったじゃ。斉藤だばもつけだはんで来るがも、っつうが斉藤ってしっちゅう?」
(訳)「ごめん、誰も捕まらなかったよ。斉藤なら調子者だから来るかもしれないよ、と言うか斉藤って知ってる?」
棟方:「しっちゅ!しっちゅ!小学校のとき同じクラスだね、とっちゃやぐざだべ」
(訳)「知っている知っているよ!小学校のとき同じクラスだったよ、お父さんがヤクザなんだよね」
工藤:「そごまでわがんねーじゃ、んだんずな!」
(訳)「そこまで知らないよ、そうだったの!」
棟方:「んだよ!」
(訳)「そうだよ!」
今日のポイント
単語
カラス:黒い衣装を着たヤンキー跳人
(参考)白鳥
もつけ:お調子者
(参考)津軽衆の気質を端的に述べた言葉です。頑固者でおっちょこちょいで義理人情に厚い、それが津軽衆です。
しっちゅう:知っている→しっている→しっちゅう
(参考)おおよそではあるが、津軽弁の動詞・形容詞には規則変化があります「基本形+chu(jyu)」となります。例を以下に挙げます。
にじゅう:似ている
やっちゅう:やっている
ないじゅう:泣いている
コラム
生まれが青森と言うことで必ず質問されることがあります。「ねぶた祭り」「ねぷた祭り」どっちが正しいの?」結論から言うとどっちも正しく、両方あります。青森FAQにも書きましたが、弘前市で行われるのが「ねぷた(NEPUTA)祭り」青森市で行われるのが「ねぶた(NEBUTA)祭り」です。起源は大和時代です、坂上田村麻呂(さかのうえたむらまろ)が朝廷軍を率いて、東北地方の制圧に来ました。最後まで抵抗して降伏しなかったのが今の津軽地方だったそうです。そこで坂上田村麻呂は、朝廷軍が大勢いる様に見せるため、笛や太鼓を鳴らし侍をかたどった大きなハリボテで威圧し、津軽地方を制圧することに成功しました。そのハリボテが今のねぶたの原形と言われています。言うなれば、津軽人は「ねぶた」に征服されたのです、その年の最高の出来だった「ねぶた」に対し「坂上田村麻呂賞」というのが最近までありました。津軽人から見ると「ねぶた」は自分達を制圧した敵なのに・・・・・変な話ですね。