子宮筋腫と症状がよく似ていて、また併発しやすい病気に子宮内膜症があります。本来は子宮の内側にあるはずの子宮内膜組織が別の場所にでき、そこでも出血したり、痛みを起こしたりします。従来、子宮筋腫の好発年齢は40歳前後、子宮内膜症は30歳前後でしたが、近年はどちらも低年齢化の傾向にあります。筋腫、内膜症とも、その病巣の程度によっては、不妊の原因になることもあります。これらの疾病があるだけでただちに不妊であるとは限りませんが、子宮筋腫のある人で、ほかに原因が見当たらないのに流産を繰り返したようなときは、こぶだけを取る核出術などが必要になることもあります。QOLの改善には、薬のほかに食事療法などもお勧め。子宮筋腫を手術せずに完全に取り去る方法は、現在のところありません。しかし、放っておいても致命的なことになる病気ではありませんから、その人の日常の健康を損なっていなければ、筋腫があっても、ふつうに生活していてよいのです。最近はよくクォリティ・オブ・ライフ(略してQOL。生活の質)ということがいわれますが、子宮筋腫もまさにQOLが大切な疾病の1つで、治療方針も、QOLを最優先に考えるのが一般的になっています。その基本は、症状をやわらげる対症療法です。ですから、症状がほとんどない場合は、特に治療をせずに、特に大きな変化がないかどうかチェックする定期健診だけ行っている人も、少なくありません。

次へ