対症療法には、鎮痛剤、造血剤、ホルモン療法、漢方薬などがあります。そのほか、補助的な改善法として、栄養バランスがよく、からだを冷やしにくいような食事を中心とした食事療法、腰湯などの入浴療法、東洋医学に基づくツボ療法、西洋漢方とも呼ばれるアロマテラピー(芳香療法)などもあります。動脈塞栓術のような新しい治療法の選択は慎重に。かつて子宮筋腫の治療法といえば、子宮全摘術が基本とされていた時期もあり、その目安は、一般的に筋腫の大きさにあると考えられていました。しかし、筋腫がさほど大きくなくても症状の重い人、逆に大きくても症状は全くつらくないから手術は必要ないのではないか、と考える人もいて、近年はかなり見直されてきました。全摘術の選択は、対症療法で十分なQOLが得られているかどうかをポイントに、各手術のメリット、デメリットとも比較しながら、時間をかけて選んでいる人が多いようです。また、最近は治療法の選択肢も広がってきました。その一つが、動脈塞栓術です。これは婦人科ではなく、放射線科で行われている血管造影検査の技術を応用した治療法で、簡単にいえば筋腫に栄養を送っている動脈に栓をして筋腫を縮小させようという治療法です。欧米で最初に開発され、日本でも何カ所かの病院で試みが始まっていますが、まだ症例数が少なく、現在のところ健康保険の適用もされていません。ただし、この技術自体はほかの疾病に多く用いられているもので、欧米での成績も悪くないという報告もあることから、日本でもさらに研究されることは間違いないでしょう。なお、子宮全摘術には、開腹手術だけでなく、腟のほうから取り出す腟式全摘術もありますが、最近は内視鏡による遠隔操作でお腹の中を観察したり、治療しながら同時に「腟式全摘術」を行う方法もあります。このように従来とは違う治療法も登場しているわけですが、歴史が浅いということは、安全性が確立していない、と言い換えることもできます。患者にとってのメリットだけに目を奪われず、デメリットを含め、ほかの治療法と比較検討して選ぶことが肝心です。
監修:今井理恵(港町診療所婦人科)