10/13(月)
最終日。泣いても笑っても、自分にとっては最後のエンパイヤ。
7時半前にセットしていたアラームに起こされ、独り風呂に入りに行った。
このオフが終われば、このぶんか荘に来ることも、まずなくなってしまう──
今更ながら、感慨深いものを感じ始めた。
初めてここに来てから、約2年半。今回で10回目を数えることとなった、宮城オフ。
エンパイヤとぶんか荘は、常にセットだった。双方に対して、変わらぬ感慨を覚えるのも、不思議なことではない。
ここで朝食を採るのは、自分にとっては今回が最初で最後。今思えば、もっと早くから頼んでおけばよかったと。
──いや。最後の最後で、ここでの朝食を楽しめるようになった。そう思うのが、自然ではなかろうか。
過ぎたことよりも、今を。そして、これからを。見つめるべきだ。
エンパイヤも、消えはしない。多くの人々の心に、記憶に。刻まれているのだから。
【歩いた跡が道となる】
今日の朝食には、オレンジジュースが付いていた。
朝の自分は、オレンジジュースに弱い。飲めば鉄板で、腹を下してしまう。
「天敵キタコレwww」
と、嬉しそうに指さしてくるダブル先生。いや、好きなんだけどね。オレンジジュース。
朝食を平らげた後は、今日は横にならずに、そのまま出発した。
今回は個人的に最後ということで、自分たっての希望で、久しぶりにエンパイヤまで歩いて行くことにしたのだ。
朝のぶんか荘。輝いて見える。
徒歩だと、ぶんか荘からエンパイヤまでは、30分程度かかる。
最近は寝坊したりで、ついタクシーに頼りがちだった。思えば本当に、久しぶりの徒歩だ。
運動不足気味の身体にとっては、いい運動になる。タクシー代もかからない。実によいことだと思う。
道中にある名所の数々(例:おにばばはうすw)も、久しぶりに目の当たりにした気がした。
他にも、タクシーを使えば気付かない、ちょっとした事件に出くわすこともできる。
例えば、途中で出会った猫だってそうだ。コイツはただじっと座って、歩き行くこちらを見続けていた。
『こっちみんな』
ごく自然に、ハモった2人。こういった些細な出来事に、自分はいちいち満足できてしまう。
ようやく見えてきた、エンパイヤのネオン。残り2時間の間に、どれだけの記憶を刻めるのか──
開店まで、およそ15分。その間に、店の周りを色々と撮ってみた。
パチンコのフレームが、所狭しと放置されていた。
やがて時間になり、シャッターが上がっていく。それと同時に、Gthさんがタクシーに乗って現れた。
店内ではメカ氏が、3人が打つ台を用意しているところだった。
役者は、揃った。後は、最後まで堪能するだけ。それだけだ。
ダブル先生は、ジュピタークィーン。Gthさんは、ピンパン3をそれぞれチョイス。
そして、自分は──正直、最後まで迷ったのだ。
実際ここに来るまでは、十中八九、コングダムにしようと思っていた。
この台に出会っていなければ、今日の自分はない。それだけ、自分にとっては思い出深い台。
しかし、最後の最後で、今まで機会があっても触ることのなかった、あの台にしようと決意した。
「──ゲッターマウスで、お願いします」
昨夜、エンパイヤを出る前に、そうメカ氏に依頼した。
未だに打ち方を覚えていない、ゲッタマ。しかし、ホールで初めてBIGを引いた機種が、このゲッタマだった。
そして──その、最初に引いた時以来、遂に2回目のBIGを、ホールで引くことはなかった。
初打ちからも、何度か打ったことは当然あった。が、引けども引けども、バケばかり。
次に見つけた時こそは、と幾度も思ったが、そんな時は決まって時間がないか、他の台に夢中になっていた。
そんなわけで、自分はゲッタマを選択。準備も整い、いよいよ3日目がスタートした。
1番手は、もちろんというかピンパン3。しばらくリーチ目を堪能し、やがてBIGを揃えたGthさん。
そして、いきなりCT確定w いいなあ……のっけから、羨ましい展開ですね。
彼に追従したのは、実は意外だった自分。いや、ひょっとして引けないのかな、と思ってさ。
初日のビショップの例もあるし、何より、今までが今までだったし。
そうでなくとも、相手はダブル先生。彼ならジュピターでも、サクッと引けると思っていた。
だが、幸いにもBIGが引けて一安心。入賞ラインに拘り続け、揃えたのは成立Gからどれくらい後だったか。
左はネリナ、右は……ジローはお断りでw
「ジローに、花を持たせてやって下さいよ」
と言ってきたのは、隣のダブル先生だった。
確かに、ジローでもよかったんだけどね……何となく、最初はこうしたかったのよね。
さて。最低目標はクリアできて、ホッと胸を撫で下ろした自分。BIG中は……勉強になったw
いや。初打ち当時はハズシの概念すら知らなかったし。今はリール直視して、ポイントも探せるわけよ。
コレって大した進歩じゃね? まあ……リプレイ以外も、色々とハズしちゃったけどさ(嘲笑)
2歩進んで、3歩下がる。みたいな? あれ、退化してんじゃん……まあ、細かいことは気にするな。
まあ、しかし。何だ。よくここまで、来たものだよ。我ながら。
ゲーセンで初めて「7を揃えた」のが、1.5号機のファイアバード。
それから数年を経て、ホールでようやく初BIGが引けた、ゲッターマウス。
その後にコングダムに出会って、打ち方を調べることでDream Messiahに行き着いて──
やがてMR氏と出会い、そのうちにダブル先生がやってきて、みんなでオフ会を続けるようになった。
そして──気が付けば、こんな所まで来るようになっていた。
お金のかかっていないスロットを打つために、遥か彼方の宮城県へ。それも、10回も。
冷静に考え直してみれば、ちょっと、いやかなり、おかしなことなのかもしれない。
それでも、後悔はしていない。自分が望んで、続けてきたことだから。
多くの時間と、大金を払ってまで、わざわざ、道なき道を歩んできた。
それが、今となっては──振り返れば、歩いてきた跡が、曲がりなりにも1本の道になって見えそうな──
そんな気が、しないだろうか。
【6年ぶりに】
手前から自分、ダブル先生、そしてGthさん。
この3人が並んで打つのは、6年半前の第1回ファウストデー以来のこと。
当時は、Dream Messiahの管理人であるGthさんの初参加オフであり、またダブル先生のデビューオフでもあった。
どう見ても若かった、当時のダブル氏。ちょっと怖くて当時は聞き出せなかったが、実は(ry みたいな(苦笑)
まあまあ。今となっては時効というか、オフの開催が2ヶ月ほど早かっただけですよ。きっと。
しかし、あれからもう、6年半も経ったんだなあ。早いものだ。
当時の戦績は、このメンツの中ではGthさんが勝利。残りの2人は、瞬時にボロ雑巾と化したww
今思えば、当時から(いい意味で)KYだったMR氏。できれば、彼とはもう1度、エンパイヤに来たかった。
しかし、誰にだって都合はある。今は彼の分まで、楽しむことだけを考えよう。
Gthさんは、ハナっから軽快に飛ばしてました。
一方、ダブル先生は台の仕様上、やはり苦戦を強いられていた。
自分と同時に入った! と思えば、どちらもバケだったとかw こっちみんなww
と思いきや、よもやの2G連!!──バケが、みたいなwww いやあネタとしては最高でしたが。
しかし、何とかBIGが引けて一安心。開始からちょうど1時間、ようやくの3番手でした。
神曲準備、完了であります。
「打ったことないのなら、ぜひ(BIG中のBGMを)聴いてみて下さい。神曲ですから」
遊戯前、胸を張ってGthさんにそう告げていた、ダブル先生。自分ももちろん、彼の意見には賛成だ。
いつ聴いても素晴らしい、あのピアノ音。店員のおばさんも「聴き惚れる」と言うのも、無理はない。
実際、Gthさんに訊いても、やはり満足してもらえたようだ。
先代ビーナスとは違い、ハープ音のファンファーレは条件付きなのが残念だが、通常のもなかなかのもの。
自分が打ったことがあるのは、2回だけ。いずれも東京での実戦だったが、近場になかったのが悔やまれる。
さて。3人がようやく初BIGを引けたわけだが、先生が単発で終わらせるはずがなかった。
初BIGはEXプラムからの1発解除、そして次はEXリプから、これまた1発解除。
GthさんはGthさんで、相変わらずのBIG→CTのループ。対して自分は……いつも通り?
つまりは「引けなくなる」→「引けたらバケ」の繰り返し。挙句の果てには、バケ生入りとか(失笑)
それでも、頼むからBIGだけは生入りしてほしくはなかった。そう、実際に口にもした──が。
最後まで、生入り続きでしたとさ。
神は、我が願いを聞き入れてはくれなかった。いや、最後までオチを下さったのか。
何てお茶目な神様……というか、神様って身近にいたよな、そういや。先月なんて一緒に来たじゃんw
それはさておき、静かな店内は、いよいよ盛り上がりを見せ始めたかに思えた。
今日は月曜日。平日故に、来客は少ない。自分達を除けば、まだ2人しかいなかった。
そのうちの1人が、あっさりとアラチャンを引いていたのは、正直羨ましくはあった(苦笑)
まあ、何だ。やはり自分は、AT体質ではないということ。ボーナスを引いてナンボですよ。スロットは。
【「さよなら」は言わないで】
Gthさんのスタートダッシュは、結局、最後まで途切れることはなかった。
2時間で引いたBIGは9回、そしてCTの回数は……7回。出玉は3000枚以上だったと記憶している。
「万枚ペースでしたね」
十二分に満喫されたGthさんは、自画自賛でそう呟いた。
万枚といえば、自分ってばエンパイヤRになってから、万枚なんて出したことないよ。
まあ……思えば、それも当然か。基本的に、1台を終日打つことは少なかったし。
そして、ATのヒキが弱かった(苦笑) それもまた、いい思い出になりましょう。
ダブル先生は、どうしてもストック機という仕様上、そう何度もBIGを引くことは叶わなかった。
それでも、満足はしたはずだ。望みの神曲も聴けて、よもやのバケの連打にも酔いしれることができた。
自分は──通算2回目のBIGを引けただけでも、正直満足ではあった。
しかし、できるならばもう1度。その1度が引ければ、更にもう1度──
人間は欲張りなもので、当初の目標が達成できれば、もう少し上を望んでしまう。
とはいえ、2時間で3回しか引けなかった自分にしてみれば、4回目を望むことに問題があるとは思ってもいない。
むしろ、なぜ引けなかったのかと──いや、1回でも引ければ、満足なはずだったんだな。
何より今は、引いたボーナスの回数に対して満足不満足を唱える時ではない。それは分かっていた。が、
そして最後まで、適当打ち。中リールは何コマスベったのやら。
スイカのこぼしでなければ……いや、それ以前にチェリーは?
考えるより前に、レバーを倒す。さすがにもう、残された時間に余裕がない。
この出目がリーチ目か否かは、当然知る由がなかった。思い出の台のくせに、知識を得ようとはしなかった。
だが、それでもよかった。こうして今、動画を撮っている瞬間、アツくなれたのだから。
こうして、エンパイヤ最終Gで、望みのBIGを引くことができた。満足でないはずがない。
帰り支度をしている間も、メカ氏やご店主は特別、何かを言い出すことはなかった。
それは、自分達3人も同じ。ただ、お土産にと実機のパンフレットなどを購入した。
そして、メカ氏の車で、大河原駅へと送ってもらう。ご店主とは、当然だがここでお別れとなった。
「2年間の間でしたが、とても楽しかったですよ」
車内でメカ氏が、そう呟いた。
自分達にとっても、約2年半。エンパイヤには、とてもお世話になりました。
「エンパイヤ時代からRまで、当店を愛して頂き、ありがとうございました」
こちらこそ、とても楽しい時間を提供して頂いて、本当にありがとうございました。
ダブル先生は最後にもう1度行くかもしれないとのことですが、その時はまた、よろしくお願いします。
やがて大河原駅に到着し、メカ氏に別れを告げた。
特に「さよなら」とは言うことはなく、いつものように「お疲れ様でした」「お気をつけて」としか、言わなかった。
「さよなら」という必要は、ない。この狭い世界、どうせ近いうちに、どこかでお会いできることでしょう。
エンパイヤRが閉店しても、また第2、第3のエンパイヤが──生まれるに違いないでしょうから。
大河原から仙台までは、Gthさんと3人一緒に帰ることになった。
そこでまた、一時の別れ。次に会えるのは……やっぱり北海道? 遠いなあw
「今度の土曜は、仕事で疲れていても、チャットに出ますよ」
Gthさんはそう言って、北海道へと戻っていった。
そして、いつもの2人。「はやて」は最後まで強敵だった……まさか、最後まで座れないとは(苦笑)
けど、それはそれで、いいのだろうか。思い出としては、残りやすいだろうから──
ありがとう、エンパイヤ。
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