龍馬へ 、、、、由利公正


明治二十二年、元老院議官子爵、由利公正




翌三日、君、京に帰る
嗚呼一訣すでに二十三年
往事追感に堪えず


既に由利公正は、日常の繁栄の中に住み・・・この日ふと、23年前の
風雪の頃を思い、龍馬のことを追憶した時、想いは慟哭を
伴わずにはいられなかったのであろう。
この想いは、維新生き残りの顕官たちが、暮夜ひそかにもったであろう
一種の後ろめたさにも通じているのかもしれない。




硯の海に浮かぶ思ひの数々の 書き尽くせぬは涙なりけり

勲なく我身は今に永らえて 世にも人にも恥ぢざらめやは




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