「北越偉人沙門良寛全傅」



明治維新以来茲に四十五星霜を経、欧米の文物盛に輸入して

物質的文明は殆ど其極に達したりと謂ふべきも、神霊界に於ては

之を相判はざるもの有るかを疑ふ。

風俗漸く奢侈・淫靡・軽佻・浮薄に傾き、孝弟忠信・礼儀廉耻を忽諸に附し、

名利の前には朋友なく骨肉なし、滔々たる天下皆是なり。

人心惟危ふく、道心惟微なりと云ふ可きなり。

今の時に於て之を驚醒するに一大木鐸なかる可らず・・・。




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