My Camera


Kiev 60 TTL

 ウクライナ製の6x6版カメラ、Kiev60です。Kiev60は現行機で現在でもウクライナのアーセナル工場で製造中です。でも現行機はブラックバージョンで、ミラーアップ機構がついています。僕のKiev60は1987年製のクロームバージョンで、ミラーアップ機構はついていません。このKiev60、E-bayでたったの$88.00-でした(送料が$66.00-かかりましたが)。こんなに安くて良いのでしょうか? 届いたKievは経年による撚れはあるものの、なかなかの美品でした。しかし、早速モデルの息子を連れて公園に行って試写を行ったところ、現像から長尺ロールのまま戻ってきました。コマ間が重なっているためでした。これはKiev60やPentacon sixで有名なトラブルですね。僕は大人ですから???こんなことには動じません。早速、トップカバーをはずして巻上げを調整。いい感じに修正しました。
 話は変わりましてこのカメラ、TTLというファインダーがついていますが露出計連動ではありません。露出計の数字を見て、それを絞りとシャッタースピードに移すという行為が必要です。そんないんちきTTLファインダーですが、慣れれば結構使いやすいです。6x6ではスナップ的にバシャバシャ撮らないので、こんな悠長な撮り方でもあまり不便は感じません。この1987年製のKiev60についていたTTLファインダーですが、以前からPentacon sixにつけて僕が使っていたKiev60用ファインダーとは年式の違いなのか、若干違いがありました。もちろんP6につけて使っているほうが新しいと思います(2003年に新品で購入、下の写真右)。こちらは電池もすんなりLR44が3個入ります。スイッチはオートパワーオフ機構がついており電池の無駄な消耗を防ぎます。一方、Kiev60についていた古いバージョン( 写真左)では、スイッチはONとOFFを切り替える方式で(三角マークがスイッチ)、入れたら入りっぱなしです。OFFにするのを忘れると電池が消耗します。でもバッテリーチェッカーがついていたりして、その点は新型より良いです。電池は今まで見たこともない電池(おそらく酸化銀電池?)が入っていました。電池のサイズもLR44の3個分より大きいです。しかし、このような電池は手に入らないので、駄目もとでLR44を3個入れてみました。太さは紙を巻いてスペーサーにして、長さの足りない分はアルミフォイルで調整しました*。そしたらバッチリ作動しました。
 この旧型のもうひとつの良い点は、ファインダー内のオーバーとアンダーのマークが異なることです。新型ではどちらもただの○で、オーバーだかアンダーだかちょっと見にはわかりません。でもこの旧型は二つのマークの形がそれぞれ違っていて、わかり易くなっています。なんでこのような良い点を改良するときになくしてしまうのかちょっと疑問ですね。ソビエト製のカメラにはこういう進化の謎が多いです。おそらく複数の開発チームが縦割り行政で仕事をしていたのではないか?と勝手な創造を膨らませています。
 もうひとつ、このTTLファインダーで気になったのは、DINの数字です。フィルムの感度を合わせるのに、DINとソビエト工業規格?**の二つがついているのですが、このDINの数字が、10、13、16、19、22、25、28、31となっています。通常我々が使用するISO100のフィルムはDIN21、ISO400はDIN27だからこれにあたる数字がありません。もうひとつのISO互換と思われる規格の数字も、8、16、32、65、130、250、500となっています。ソビエトのフィルム感度はISO100とかに相当するものはなかったんでしょうか?しょうがないので僕は、ISO100のフィルムを使うときは19と22の真ん中に表示をあわせて使っています。しかしなぜかKiev60本体の感度メモリーには、15、18、21、24、27と我々の使うフィルムに対応したDIN表示がついていました。やはりソビエトは侮れません。西側の工業規格とは違いますね。一方、P6につけている「新しいほうの」TTLファインダーは、ソビエト連邦崩壊後の製品らしくISO表記になっていました。
 このファインダーはちょっと問題があって、視度が合っていませんでした。どうも遠視の人用になっているらしく、無限遠側では結構まともなのですが、近接ではボケボケ。最初は何でか解らなかったのですが、ふと「視度か?」と思って、試しに(近視の)家内の眼鏡を借りて、その眼鏡を通してみると良く見える。うーん、何でかな?ソ連邦。でもこんなことはソビエト製のカメラには良くあることのようです。しょうがないのでContaxAX用の近視の人用の視度補正用レンズ(-3のもの)を買って、レンズのみを取り出して付けました。これでバッチシ。Kiev60もついに最前線に躍り出ますよっ!!
 しかしKiev60は、ゴッツクて重いけど唯一合衆国と対等に渡り合ったソ連邦のパワーを感じるかっこ良い機械です。

*専用のスペーサーがありました。E-BayでみつけてKievカメラに注文しました($10-でした)。これでアルミフォイルともおさらばさ。
**ソビエト工業規格は私の勝手な造語です。ゴメンナサイ。ロシア語で書いてあるりますが、DINとの関連性からおそらくISO同等の規格です。
 さて僕のKiev60は1987年製なので、ソビエト連邦の崩壊前の製品です。なので結構まともなのかな?* 正面左下にもCCCPのマークが!! このCCCPマークは品質 マーク”Qualty USSR”の印です。これは共産主義の品質低下を危惧した連邦政府による品質向上のための国家運動で、このマークがついている製品は、連邦政府お墨付きと言うことです。それにも関わらず、コマ間が不揃いだったと言うことは?? 前のユーザーが使用していたときに生じたトラブルなのでしょうか?。

*ソビエト連邦の工業製品は70年代にピークに達し、その後新しくなるにつれて、品質が低下していることが一般に認識されていますが、言うまでもなく崩壊直後の製品はさらに輪をかけて劣悪です。
 話変わって、僕のキエフ60はストラップもお洒落ですよ。キエフ純正のワイドストラップで、キリル文字でキエフの文字が。これは標準ではついていないし、なかなかレアではないでしょうか? 私はE-Bayで見つけて、ウクライナから取り寄せました。

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