The end of the road.

〜 2006.5.27 - 5.28 〜
 
 
5/27(土) 
朝。昨日は寝坊したので起きられるのか心配だったが、目覚ましが鳴るより早くに目が覚めた。 
時刻は7時前。まだ時間はある。もう少しだけ…と目を瞑ると、あっという間に目覚ましが鳴った。 
もう起きなければならない。しかし、それでもまだ眠かった。つい目を閉じる……が、いかんいかん。 
2度目の目覚ましが鳴る時には、さすがに身を起こして、タクシーを呼びながら身支度を始めた。 
今日は普通の週末。社宅の駐車場には、住んでいる人数分――かは定かでないが――の車が置いてある。 
要するに、まだ誰も外に出てはいない。自分同様、車以外の交通手段を既に取った者がいたならば、話は別だが。 
しかし、せっかくの土日なのだ。社宅の住居人の大半は、きっと平日の勤務疲れで昼過ぎまで寝ているに違いない。 
そんな日に、自分は朝早くからわざわざ小倉まで行く。目的は――スロット。ただ、それだけのために。 
  
吉野川大橋より。
  
信じられるか?――普通の人なら、素直にそう疑問を持つはずだろう。 
大金をはたいて、海を越えてまでスロットを打ちに……それも、勝つ見込みは限りなくゼロだ。 
  
 「ちょっと、頭がおかしいんじゃないか?」 
  
仮にそう言われたとしても、全く不思議ではない。自分でもそう思う。 
しかし、これが自分の選んだ道なのだ。そして、今日行き着く先は、その道の終着点。これが最後の遠征。 
そう。これが最後……泣いても笑っても。また行きたくとも、もう2度と行くことはできない。 
なぜなら、時間が許してくれないからだ―― 
  


  
【最後の旅路】 
午前8時過ぎに、JR徳島駅に到着。 
ここから8時21分発の電車、もとい汽車に乗って、まずは岡山まで行くことになる。 
  
特急うずしお6号。
  
岡山までは、約2時間の旅路となる。 
正直寝不足気味だった自分にとっては、いい睡眠時間となる……はずだった。 
が、なかなか眠りにつけない。以前のオフ日記にも書いたと思うが、どうも「行き」は眠れない。 
やはり、今回も軽い興奮状態にあるのか。確かにあのパトライトは魅力的なのだが……。 
仕方がないので、今回の日記の冒頭でも書くことにした。後で、メールでPCに送信しとこう。 
その後は、徳島駅で買ったサンドイッチなどの軽食を採り、やがて睡眠。 
高松を過ぎた辺りから、急によく眠れだした。やっぱし、食後は眠くなるんだな。 
  
もうすぐ岡山……。
  
岡山駅に到着したら、次に乗る「のぞみ」の出発までは11分ある。 
万が一、次の「のぞみ」を逃してしまうと、小倉に着くのはずいぶん後になってしまう。 
しかし11分もあれば、新幹線のホームまで普通に歩いて、仮に途中でトイレに寄っても十分間に合うな。 
まあ、問題は「のぞみ」の自由席に空席があるかどうかだが……と、下車後の行動を頭の中でシミュレート。 
  
 (――まあ、大丈夫だろう) 
  
やがて岡山駅が見えてきて、ペットボトルに残っていたお茶を一気に飲み干す。 
そして下車し、空のペットボトルをゴミ箱に捨てて階段を上がった。 
ここから新幹線のホームまでは、徒歩でも5分あれば十分な距離だ。しかし―― 
  
何なの、この人の多さ。
  
後ろなんて見てみると、隙間がないほど人がビッシリ! 
え、待って。今日って普通の週末だよね? なのにこの人の多さって一体。どういうことなのか。 
歩きながら、しばらく呆然としていた。そして、不意に後ろのポケットに手を回す。 
  
  
  
 ――そこには、いつもあるはずの感触がなかった。 
  
  
  
右後ろのポケット。外出時、自分はいつもそこに財布を入れる。 
しかし、おかしい。何度触ってみても財布はない。リュックの中に入れたっけか? 
何度も確認してみたが、遂に財布は見つからなかった。次第に、思考回路が混乱の渦に巻き込まれていく。 
だが、そのうちに、辿り着いてはならない――しかし、気付かなくてはならない現実を見つめる。 
  
 (落とした――!?) 
  
そう思うが早いか、さっき上ってきた階段に戻ろうと、後ろから迫り来る人波をかき分け始めた。 
しかし、どの階段を上ってきたかが分からない。とりあえず、今目の前にある階段を即座に駆け下りた。 
息が上がる。同時に、頭の中がまっ白になっていくのを感じた。どうすればいい――? 
  
 (あの中には、帰りの切符も入っているんだぞ!) 
  
もちろん、今日の軍資金も入っている。しかし、前日に銀行に行き損ねたため、額はそれほどでもない。 
とはいえ、郵便貯金や銀行のカードも入ってはいたが、この時はそこまで気が付かなかった。 
だが、本当に問題なのは金銭的なことではなかったのだ。 
今使っている財布は、自分の妹2人が、大学院修了記念にと買ってくれたもの―― 
それをなくすことだけは、どうしてもしたくなかった。 
  
 (さっき乗ってきた汽車は、どれだ?) 
  
今思えば、下車してから財布の紛失に気付くまでの間に、財布を落とした可能性もあった。 
もっと深く考えれば、すられた可能性もあったわけだ。が、当時は「座席に落とした」ことを疑わなかった。 
しかし、乗ってきた汽車がどれだかが分からない。ひょっとすると、もう車庫に入ってしまったかもしれない。 
だが……不幸中の幸いに、自分は乗ってきた汽車の名前は知っていた。 
  
 「すいません。うずしお6号っていうのは、どれですか?」 
  
身近にいた駅員を呼び止め、その場所を訊いてみた。返事を聞いて、礼を言いながら再び駆け出す。 
うずしお6号は、向かいに見えるホームに止まっていた。だが、財布が残っているかどうか――? 
急いで車内に入ろうとすると、ちょうど女性車掌に出くわしたので、訊いてみた。 
  
 「すいません、車内に財布を忘れてしまったみたいなんですけど」 
 「あ、ではちょっと待ってて下さい」 
  
そして彼女は、車両の奥へと歩いていき、やがてこちらへと戻ってきた。 
  
 「どんな財布ですか?」 
 「はい。黒いポーターの……」 
  
そう答えると、彼女は自分の財布を出してみせた。 
それを手に取る。間違いない、よかった……。 
  
 「ああ……ありがとうございます!」 
  
絞り出すように言葉を発した。ああ、まだ息が上がってるよ。これだから運動不足は…… 
安堵のせいか、身体中の力が抜けていった。と同時に、腕時計を見る。10時24分。 
発車まで、あと3分ある――と理解するが早いか、気付くと再び走り始めていた。 
新幹線の改札をくぐり、ホームへと駆け上がる。おおっ、どうやら間に合ったようだ。 
歩きながら呼吸を整え、一息ついたところで乗車。幸い、自由席に空席を見つけて腰も下ろせた。 
  
 (やれやれ、とんだ災難だった――) 
  
最後の遠征に、大事な財布をなくすなんていう最悪の思い出ができなくてよかった。 
しかし、問題は解決したのだ。そう思っていた。 
だが、「一難去って、また一難」という言葉がある。そう。もう一難が、自分を待っていたのだ。 
ここ数年の運動不足による体力の低下が、ダッシュの連続による疲労を倍増させていた。 
その上、岡山に着く直前まで寝ていた状態で、お茶を一気に飲み干してしまっていたことが問題だった。 
眠いので横になりたいが、息が上がっているので休むことができない。 
更には、飲み干したお茶が腹の中で暴れ、苦しくて仕方がない――そんな地獄絵図。 
結局この苦しみは、岡山を出て1時間は続くことになった。 
  
【信じ難い現実】 
午後12時12分。自分を乗せた「のぞみ」は、JR小倉駅へと到着した。 
最後の実戦に向けて、戦闘態勢に入ったという意気込みのつもりで、駅のホームで帽子を被る。 
しかし、ここは本当に小倉なのだろうか?――正直、そう疑って仕方がなかった。 
今日は土曜日。毎週やってくる週末。なのに自分は今、約束の地、小倉にいる。 
  
小倉駅。
  
駅前には、多くの女子学生が募金運動をしていた。賽銭がてらに500円玉を投入してみる。 
「500円も入れたよ」と密かにアピールしてみたつもりだったが、彼女達とは目も合わなかったw 
それから駅を出て、このままひまわりへ直行したいところだが、何分軍資金が乏しい。 
昨日は銀行に行けなかったからなぁ。結局ここへは、手持ちの額をかき集めてきた。 
なお、そのうちの27kは旧札(夏目)で用意してある。 
  
夏目群。前夜に撮影。
  
もちろん、この27人の夏目達は、全員この2日間で虐殺予定であるw 
ていうか、生きて帰れないだろうって。やっぱり、2日間だと100k近くは必要かな……? 
そこで、駅員に郵便局への道を訊ねて、不足分を補充することにした。 
やがて60kの預金を下ろし、さて後はひまわりへ行くだけ――と思った。 
が、ここでまた、1つの懸念が浮かび上がる。果たして、打つ台は残っているだろうか? 
というのも、郵便局に行くまでに、チラッとひまわりを見てきたんだけど…… 
どうも、店頭に何人かの人がいたように見えた。あれは、自分同様の遠征組ではなかろうか。 
小倉のひまわりといえば、旧台打ちにとってはそれこそ聖地のようなもの。 
その上、時期も時期だし、大勢の客がいてもおかしくはない。 
そもそも「それ」を回避するために、6月ではなく5月に最終日を設定したのだが……うーむ。 
  
ひまわり前。
  
初めてここに来た時の印象は、まだはっきりと覚えている。 
店の中に入った瞬間、自分を取り巻く空気というか雰囲気が、一気にタイムスリップしたようだった。 
この、店内の様子はきっと、開店当初から今まで全く変わってないに違いない。そう思った。 
そして、また今日も。これで3回目になる来店の感想は、初回時のそれと変わらない。 
変わったといえば――「ここに来たことがある」という、自分の経験だけ。 
そう。その経験があるにも拘わらず、店内に入った時の第一印象は、以前と全く変わらなかった。 
  
先程の懸念はどこへやら、スロのシマには誰1人いない。
  
そして自分は、迷わずハイアップターボの1台を確保する。 
「ハイアップで出玉を作り、APEXに全放出」――初回時から変わらぬ戦法。今回もこれを採用した。 
そして、いよいよ最後の実戦開始。時刻は12時34分、語呂のいい時刻だった。 
長きに渡って続いたみなし機の実戦を、旧台旅打ちの始まりの地である、ひまわりで締める。 
我ながら、何ともいい締め方だ。幸せだ、そう思っ――!!? 
  
開始3Gでの出来事。
  
何と、開始からわずか3Gで、頭上の太陽が回転したではないか!? 
今までの実戦では、初当たりは例外なく天井直行だっただけに、これにはかなり驚いた。 
何だよ。てことは、今までの自分の台の選び方が悪すぎただけなのか? 
あまりにも早すぎる初当たりに気をよくし、「今日はハイアップ1本でもいいか」などと思い始める。 
――と、先の一文を見て「変わり身の早いヤツだな」と思った、そこの貴方。 
ええ。大正解です。 
  
【追加投資という名の連続演出】 
初当たりのバケが飲まれ、まずは最初の追加投資を開始。 
もちろん、これは想定内のこと。いきなり連荘を望むほど、さすがに気が短くはない。 
とはいえ、いきなり多めの追加投資ってのは嫌だなぁ……というのも、正直なところ。 
  
 (つまりは、早めに引ければいいんだけどなぁ……) 
  
と、ふと上を見たそのG。頭上の太陽――つまりパトライト――が、静かに回転した。 
確かに、オリンピアのパトライトのように「キュイン!」と鳴るのも、一興かもしれない。 
しかし、この静かに回る、その上実体は視界に入らない位置にある、正に太陽のようなパトライトはどうか。 
完全告知があまり好きではない自分にとって、ここのパトライトだけは全くの例外。 
むしろ完全に中毒、みたいなw とにかく、希望通り早めに引けてよかった。 
引けたフラグがどっちか、というのはあまり考えない。何しろ、ハイアップのBR比率は1:3。 
バケでも連荘すればよし。それこそがハイアップの魅力であり、稀に引けるBIGはそのスパイス的存ざ 
  
2回目のボーナスで……まさかフフフが。
  
早くもスパイスキタ―(゚∀゚)―!!! 料理なしに調味料だけって辛いだけじゃないですか、とか言ってみる。 
しかし、まさか2回目でこんな……過去2回の実戦では、ボーナス18回引いてたったの1回だったのに。 
とにかく、BIGが引けた。これは即ち、ある程度の持ち玉ができたことを意味する。 
もちろん、パンクしないように目押しもしたし、ベルも取ったし。大丈夫、370枚くらいはある。 
(注:前回、目押しはしたけど中リールのベルを狙わず、推定300枚程度で終わった経歴アリ) 
よし、これくらいあれば、次のボーナスくらいには続くよね。早めにBIGが引けてよかった。 
……と、ここで安心しきっていた自分が間違いでした。 
ハイ即飲まれ。で、再び追加1本で回転……3回ボーナス引いて、全部単発&投資額1本。 
投資が少ないってのはいいけれど、全部単発ってのも寂しいのも事実。 
しかし、今度は続いてくれた。やっとかよ、と正直思ったりもしたが…… 
とはいえ、どうせバケなんだろ? と、これも正直思ってみた。そして、右を止めるとBAR・7・ベル。 
んー……もしバケなのであれば、7が枠下に落とされることが多いと思ったけど。 
あ、ひょっとしてベルかな? でも、どうだろうか。考えた末、7付きBARを上段に狙って―― 
  
――みると、中リールがヌルスベリ(汗)
  
って、2回目のBIGキタ―(゚∀゚)―!!! すげー嬉しい! 
今度こそ、この出玉である程度は遊べるだろう。本当に、今度こそそう思った―― 
  
  
  
 飲 ま れ ま し た ♪ で、また追加1本(バケ)……と、ダークアウト。 
  
  
  
4連続で、投資額1本。これは一体、喜ぶべきかそうでないのか……微妙なところではある。 
でまあ、今度もサクッと飲まれるわけで。しかし、ここでふと考えた。 
ここまで、R→B→R→B→Rと続いてるってことは……やはり、次もBIGなんじゃなかろうか? 
その上、追加投資も1本で済むのでは……と、希望半分、本気半分でそう思った。 
が、当然ではあるが、現実はそう甘くはなかった。追加4本でバケ、更に追加7本でバケ……。 
それも飲まれ、もう1本追加したところで、ヤメた。ちょっと休憩でもしようかな。 
  
ハイアップターボBIG動画
滅多に聴けないファンファーレw
(動画再生には、QuickTimeが必要です)
  
しかし、ここまで6回も追加投資しておいて、その総負債額はたったの16k。 
ここ近年の台でなら、考えもできない展開ではある。が、こういう台もないと、遊べないよね。 
本当に、なぜこんな台を撤去しなければならないのか……不思議で仕方ない。 
とりあえず、メシでも食いに行くか。何を食べようかな――と思ったところで、ふと閃いた。 
せっかくだから、お店の人に訊いてみるのもいいかもしれない。 
  
 「すいません。えっと……この辺に、どこかおいしいお店ってありませんか?」 
 「えーっと……そうね。何食べるの? ラーメン?」 
 「あ、ラーメンは好きです」 
 「じゃあねぇ。この道をこう行って、ああ行くと、『一蘭』ってお店があるから」 
 「ああ、ありがとうございます」 
  
お店のおばさん曰く、ここらでは結構おいしく、そしてちょっと変わったお店らしい。 
しかし、ああも丁寧に教えて頂けるとは……訊いてみるもんだなぁ。 
さて。おばさんに教わった通りの道を、5分も歩いていないだろうか。小雨の中、目的のお店に到着した。 
  
一蘭。24時間、年中無休らしい。
  
写真にも少し写っているが、店頭には食券販売機が置いてある。 
で、メニューはというと――主に「ラーメン」とトッピング、そしてご飯だけ。 
とりあえず適当に買って、さっそく店に入ってみる。すると、店員が1人、紙を持って立っていた。 
  
 「いらっしゃいませ。当店のご来店は、初めてでしょうか?」 
 「あ、はい」 
 「それでしたら、この紙を持って、2階の3番席にてお待ち下さい」 
  
来店は初めて? 紙を持って3番席へ? 座る場所が決められているの? 
疑問を持ちながらも、店員に言われた通りの席を探し、そして着席する。 
紙には、食べるラーメンについての注文(面の堅さ、スープの味など)を色々と書くようだ。 
席に用意されてあったボールペンで記入し、前に出す。それを店員が確認すると、注文が確定するようだ。 
なお、席の両側は板で仕切られてあり、目の前は赤い暖簾でこれまた仕切られている。 
暖簾には文字が書かれてあり、それによると「お客様が食事に専念されるよう」仕切られているとのこと。 
後で見ると、このシステムは特許として申請済だとか。色々と考えてみるものだなあ。 
  
店内の暖簾。肝心のラーメンは、なぜか撮さず……?
  
ていうかさ、撮ろうとも思ったんだけどさ。 
暖簾を撮った時の「カシャッ」って音に、右隣のねーちゃん(推定、20代前半@墨入り)が反応してさ。 
もう1つ右隣のねーちゃんと、何だかヒソヒソと言われたわけですよ。 
今更、恥も外聞もないじゃんと言われればそれまでだけど、何だか撮りにくくて……ね。 
それはさておき、ここのラーメン。かなりうまい。豚骨なのに、不思議なほどあっさりしてる。 
塩茹での半熟卵もおいしかった。この店はぜひ、また誰かと来たいなぁ。 
そう、例えばMR氏やダブル先生なんかと。加えて望みが叶うなら、共にひまわりで―― 
う〜ん。これはひょっとして、来月も突撃しちゃう? 
  
【実力発揮】 
ひまわりに戻ると、再びお店のおばさんと男性店員が出迎えてくれた。 
  
 「どう、おいしかった?」 
 「はい、おいしかったです。あのお店は変わっているというか、面白いですね」 
  
明日もぜひ行こうと思います。そう付け加えて、今度はAPEXに着席した。 
サミー工業の2.1号機、APEX301EX――「トリ」となるのは、やはりこの機種か。 
会長をはじめ、名旧会に溺愛されているAPEX。しかし、これまたBIGが非常に引きにくい。 
何せ聞いた話では、設定1だとBIG確率は1/444。獲得枚数といえば、2号機の例に洩れず360枚程度。 
これが設定2になると、分母の数値は80近く変わってくるが――果たして、状況として望めるだろうか? 
勝つつもりなど毛頭ない。というか勝てるのか? 理論的にあり得ない。そうとすら思えるほどの強敵。 
しかし、ひまわりに来てAPEXを打たないとなれば、それこそ旧台打ちの名折れ。 
むしろ楽しみです♪ と強がってはみたものの……はてさて、どれだけ負けられるのかしら? 
実戦再開時刻は、15時48分。即チェリーからシングルヒット。 
更にシングルがもう1回。スケール最小とはいえ、開始直後にボーナスが2連。 
今日はイケる――と、この時くらいは思えた、かもしれない。しれなかった。 
何分、この日記を書いているのは同年7月下旬。つまり、もう2ヶ月も前のこと。 
結末を知っている今という時から見ると、この時が最も幸せな瞬間だったように思える。 
  
スイカ。それはAPEXのシングル絵柄。
  
この後、またもチェリーからシングルが。シングル3連、つまり純増72枚。 
純増枚数だけなら、バケにも匹敵するシングル連。だが、それにしては華やかさに欠ける。 
確かにシングル、もといミニボーナスあってこそのAPEXともいえるのだが―― 
やはり、バケ以上を引いておきたいところ。その前にチェリー来いっ! 
  
スイカしか連れてこないチェリーをガン見。つか目つき悪い。
  
自分で自分を撮るのって、難しいね。それより、なぜか受刑者が写ってるんですけれど……。 
そんな目つきの悪い受刑者にあきれ果てたか、またしてもチェリーはスイカを連れてきたわけで。 
9本入れたところで、やっとシングル以外のボーナス到来――するも、フルーツ(16G)が1回きり。 
しかし、このフルーツが問題だった。10Gほどか続いたところで、本日初の、APEXでの下皿への払い出し。
だが、瞬時に疑問が浮かんだ。どう見ても払い出し時間が長いww
慌てて店員さんを呼んで、筐体内を見てもらう。どうやらホッパーがイカれているようだ。
急遽、別の台のホッパーが用意される。が、それまでにAPEXはざっと50枚を吐き出した。
入れ替え作業が終わるまでしばし待ち、やがて実戦再開……えっ、コレもらっていいんですか?
えっと。きっとこの先厳しいと思われるので、ありがたく頂きました。まあ、ものの2分で消えましたが……。
その後も更に11本投資して、2回目のフルーツ(25G)が。シングルに至っては2回引けた。 
しかし、おかしい。20本も使ってバケすら引けず……どうも今日はヒキが弱い感じ。 
かつて、会長は51本使ってノーBIG、かつノーバケだったという……そんな様子が、ふと脳裏を横切った。 
えっとちょっとまってくださいAPEXのばけってせってーイチでも1/240なんですよね? 
それを51本使って全回避……G数にすると、どれくらいなんだろう。 
しかし、この時は他人の心配をしている場合ではなかった。自分とて現在、F2シングル6のみ。 
そういや、結局ハイアップでも出玉作れなかったっけ。現在の総投資額は……36本? 
  
 (まさか、今日はこのままバケすら引けないんじゃ――?) 
  
そこまで会長の偉業をトレースしたくはない。胸中で本音を洩らすと、追加2本で中リールにスベリ発生。 
うわー、チェリー出てないのに3コマスベリって初めて見たかも。が、しかしコレは……? 
  
バケ。しかし、祝・シングル以上。
  
正直、ちょっと複雑ではあった。が、シングル以上が引けたのは事実。 
よかった、ちゃんと抽選してたのね。それが分かっただけでも、よしとしよう……しておこう。 
この後も更に戦いは続き、フルーツ(25G)、シングル連と戦果を挙げる。 
――が、対APEX戦開始から2時間超が経過し、総投資額が46本となったところで腰を上げた。 
ダメだわ、今日はちょっと日が悪いかも。本気でそう思ってみた。 
この俺が諦めるなんて……まさか……これがAPEXの、真の実力か……。 
  
【小休止】 
ひまわりは、何もスロットだけの店ではない。 
アレンジボール、雀Qといったパチンコ(厳密にはジャンルが異なるらしいが)もある。 
そこで、気分転換がてら、雀Qに初挑戦してみることにした。 
ちょっと遊んでみるだけだし、釘も見る必要なんてない? と、適当に座ってみる。 
  
 「兄ちゃん、雀球は初めてだっけ?」 
 「あ、はい。そうです」 
 「なら、麻雀は分かる? あの感じで、牌を見るといいよ」 
  
お店のおばさんのレクチャーを受けながら、まずはコイン(200円で3枚)を買って試してみる。 
すると、なるほど。球を1発打つと、結果的に入った場所がめくられて牌が現れるのか。 
  
雀Q――正式名称は「雀球」。
  
思えば「雀Q」なんて書き方、どこで見たんだっけ。忘れちゃった。 
話を戻して――写真の緑色の部分が牌で、球が入ると下から順にめくられるという仕組み。 
球はもちろん計14個あり、それを全部打ってめくられたものが自牌となる。 
また、余計な牌ができた場合は、下の黄色いボタンを押して牌を戻す。 
そうすると、そこに入っていた球が1つ手元に戻り、もう1度打つことができる。 
そのチャンスが、最大10回まで――と、シンプルなゲーム性だが、これがまた面白い。 
麻雀が好きだという人は、それこそ何時間でも打てる代物だと思いますよ。 
  
 「初めてだから、コレで練習しな。後ろで、見といてあげるから」 
  
と、コインを5枚ほどおまけしてくれました。ありがとうございます。 
最初こそ慣れない手つきだったが、やがて初の役をあがることに成功。おおー。 
  
  
全帯公、一盃口、風牌。我ながらなかなか。
  
あがった状態で精算ボタンを押すと、コイン(この場合は4枚)が払い出される。 
うーむ、コレは面白い。何でもっと早く手を出さなかったんだろう。そんな後悔すらし始めた。 
その後も何度か、あがっては流局を繰り返していた。が、やがて何度目かのリーチ到来。 
待ち牌の場所を見定め、そして球をはじく――うおっ、まさかリーチ1発か!? 
  
四暗刻!
  
残念ながら、「1発」という役はない。が、もっと残念なことは……「四暗刻=3ハン」ってことw 
何と満貫にすら及ばず……あっ、ちなみに九連宝燈は満貫でした……って、出せるのかアレ。 
とまあ、そんな感じで1時間まったり。5枚サービスとはいえ、200円で1時間遊べました。 
対してAPEXなんて……ひどいと2分足らずで1000円消えるから、ね。恐ろしや。 
  
【未練】 
APEXから退いて1時間が経過。雀Qを楽しんだ自分は、再びAPEXと対峙した。 
やはり、今日中に1回は引いておきたい。その想いが、経済面を案ずる気持ちよりも強かった。 
閉店まで3時間ある。時間としては充分……かな。多分。きっと。 
いやいや、打つ前から退いてどうする。10分あれば充分、くらいのつもりでいかないと。 
そうとも……思えば2回目の小倉戦。昨年の打ち納めでは、30分間で2回もBIG引いたじゃないか。 
それに比べれば、残り3時間でBIGを引くことくらい。ああ、何てことないはずなんだ。 
――さて、自分を奮い立たせるための前置きは、これくらいでええんかな。APEXよ?(苦笑) 
こう強がってはみたものの、やはり外からは弱気に見えるのだろう。 
店員さんが心配そうに、こちらに話しかけてきた。 
  
 「……この台ってなあ、天井ってどれくらいだっけ?」 
 「いや。この台は天井ないですよ」 
 「やろ? だったら、ハイアップ打ったらええやん」 
 「うーん。でも、どうしてもAPEXで引きたいんです」 
 「そうかぁ、コレも連荘しないと厳しいもんなぁ……お金は、大丈夫なん?」 
 「そうですねぇ。今は……しの、ごの……ちょうど50本使ってますね」 
  
そう言うと、彼は顔をしわくちゃにして、悲しそうな表情を見せた。 
他人からしてみれば、それは正常な反応の1つなのだろう。しかし、当の本人はそうもいかない。 
今日を逃すと、後は明日しか残っていない。その明日も、夕方には出るので半日しか打てない。 
明日もハイアップから打つとなると、最悪明日も引けない――可能性はある。 
だから、今のうちに引いておきたかった。2度と戻ることのない時間。有効に使うべき時間。 
シングルすら引くことのないまま、6本目を投資。これで総投資額は52本目を数える。 
いい加減、何か引いておきたい。シングルすら恋しくなったその時、久しく中段チェリーが降臨。 
しかし、情緒不安定となった今、自分の手はその至高の目を堪能することなく、そのまま7を―― 
  
――狙いはしなかった。
  
いや、逆に不安が勝って、スイカから狙いにいったのか……正直あまり覚えてない(苦笑) 
でも、嬉しさと達成感だけは覚えてる。店員さんも祝福してくれていたような。お疲れ、俺。 
途中に1時間ほど雀Qをはさんだものの、開始から3時間半。ようやく引いたBIGだった。 
そしてそのBIGは、シングルすら引くことなく即飲まれ。これで今日はおしまいだね。 
  
1日戦い抜いた戦場。だが、何度来ても心地よい空間。
  
初日の収支は-52000円。名機、名店へのお布施としては、こんなものだろうか。 
お布施、という表現はあまり適切ではないかもしれない。が、それはこちらの気持ちの問題だ。 
長い間、台もお店もお疲れ様。そして、その長い歴史の中に、自分も入れてくれてありがとう。 
明日が最後――もう1日だけ、どうかその歴史を楽しませてもらえるかな。 
  
 「明日もまた、来ます」 
  
そう言って、今日は旧札を返すことなくひまわりを後にした。 
ああ。思えば夜の小倉は初めてかも。ネオンの光に包まれたひまわりの姿も、記念に撮っておくか。 
  
美しい店頭。だが、これも見納め――か?
  
さあ、これから晩メシ食って、明日に備えるか。今日は疲れたなあ。 
メシは何にしよう……昼はラーメンだったからな、米が食いたい。米が。 
  
【サガ】 
ひまわりの近くに回転寿司を発見したので、晩メシはそこにしようと決めた。 
――が。その隣にゲーセンを発見したので、ふと立ち寄ってみる。 
1階にはスロットコーナーがあるようだ。ラインナップは微妙……って、大花があるじゃん。 
時間もまだ20時だし、ちょっと遊ぶくらいの時間はあるよね。そう思い、軽く擦ってみる。 
しかし、結局ゲーセンでもスロか。これもスロッターのサガ……なのかなw 
  
  
やっぱ大花は七狙い。長く愛した2確も堪能。
  
これがまあ、A-600のくせにポンポンと引ける。そのヒキ、もうちょっと早くに欲しかったな……。 
B3R1の4連を堪能したところで、後ろにドン2があることに気が付いた。コレも懐かしいね。 
その上、見るとこの店は、出したコインで他の台も遊戯可能らしい。 
それならばと大花のクレジットを抜き、早速台移動をしてみた。 
  
トリテンを狙ってみると、2コマスベってダイレクトにw
  
で、コレがBIG。しかしドン2のBIGって、獲得枚数にムラがあるよね。 
ムラがあるっていうか、むしろありすぎ。フル完走で360枚ってこともあれば、500枚超もあったり。 
ちなみに自分の最高記録は470枚……だったかな。そんなに多くない、よね? 
  
記念撮影w この程度の目押しなら、何とか。
  
「この程度」とか書いておきながら、実はハズシに失敗したのは内緒の方向で。 
早めにB2だか引いて、もう満足。つか持ちコインありすぎ。そろそろメシ食いたいのに…… 
などと思っていたら、また引きおった。だからそのヒキはもう少し早く欲しかったってあれほど(ry 
  
BIG確定だったのに、やたらトリテン(3枚掛け)しなかった。
  
と、ゲーセンスロはこれくらいにして。いい加減メシが食いたくなった。 
そこで、スロとは別のメダルゲームで散財しようと決め込む。するとまあ、懐かしいものを発見した。 
ルーレットゲーム、とでも言うのだろうか(正式名称は知らない)。昔よくやったなあ。 
思えば自分がスロットに興味を持つようになったのも、このメダルゲームがきっかけだっけ。 
幼稚園児の頃から、父親に100円をせがんでは熱中してたなあ。いやはや懐かしい。 
初めての出会いから、およそ四半世紀が経過――か。まさか、また出会えるとは。 
しかし、ただ単に再会しただけでは面白くない。俺も年を取った。ならばここは1つ―― 
  
大人買いならぬ、大人賭け(?)
  
要するに全ベットw コレ1度やってみたかったんだよねww 
で、結果はというと、意外や意外「8」に停止……で、32枚バック。あれ、賭け分そのまま戻ってきた? 
へえ。高い倍率に多く賭けてると、昔は「0」で止まることが多かったと思ったけど。こんなこともあるのか。 
しかし、その後は順調に飲まれておしまい。ああ楽しかった。やっとメシが食えるよ。 
食後はコンビニに寄り、そのまま漫喫に移動。ひまわりで訊いておいてよかった。 
さて。明日はいよいよ最終日。最後くらいは……APEXで2回は引きたいな。ハイアップもね。 
何にしろ、楽しめればこの上ない満足ですが。果たして、どうなることやらね。 
総投資額:52000円、総獲得額:0円 
 
 
 
機種名 投資額 BIG REG 回収額 収支
ハイアップターボ 16k 2 5 0k -16.0k
APEX301EX 36k 1 1 0k -36.0k
 
 
 
執筆所要時間:8時間15分